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Dr.コラム

更年期障害治療5(ホルモン補充療法③)

HRTで補われるエストロゲン(女性ホルモン)には、妊娠・授乳に備え、子宮内膜を厚くし受精卵が着床しやすいようにしたり乳腺を発達させたりという働きがある、というお話を以前させて頂きました。


そのためエストロゲン製剤だけを半年以上使うと、子宮の内膜が増え続けて子宮体がんのリスクが高まることが知られていますので、ホルモン補充療法を行う際にはエストロゲン製剤に加えてもう1つの女性ホルモンである「黄体ホルモン製剤」も併用します。黄体ホルモンには、内膜の増殖を防ぐ働きがあり、併用することで子宮体がんのリスクを抑えることができるのです。
エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤の2つを併用してホルモン補充療法を行えば、子宮体がんの心配はありません。なお手術で子宮を摘出している場合には子宮がんの心配がないのでエストロゲン製剤だけで治療を行います。

 

いずれにしましても年に1回の子宮癌検診は必ず受けて下さい。

また乳がんに関しては、20年ほど前に「ホルモン補充療法によって乳がんの発症が増加する」という報告があったため心配される方もいらっしゃいます。しかし、その後の研究でホルモン補充療法が乳がんの発症に与える影響は、肥満やアルコール摂取が与える影響と同程度、つまりとても小さいということが分かってきました。そのため現在では定期的に乳がん検診を受けていれば、ホルモン補充療法を5年以上続けることも可能ですのでご安心下さい。ただ、乳がんや卵巣がんを発症したことがある人は残念ですがHRTを受けることはできません。また血縁者に乳がんや卵巣がんを発症したことがある人がいる場合、遺伝的に乳がんになりやすい可能性もあります。医師にご相談ください。

みらいウィメンズ駅前クリニック
朝倉 禎史